『コントラクトMSLになったらどんなデメリットがある?』『コントラクトMSLへの転職はやめた方がいいのか?』『メーカーMSLとの比較が知りたい』といった疑問にお答えします!
ちなみに筆者は
- メーカーMRを10年経験
- メーカーMRからコントラクトMSLに転職
- コントラクトMSL3年でメーカーMSLに転職
を経験しており、コントラクトMSL3年経験の中で様々なデメリットを体感しています!もちろんメーカーMSLとの比較も記載してますよ!
Contents
コントラクトMSLのデメリット
コントラクトMSLのデメリットはざっくり以下の10個になっています。
- 派遣先次第で仕事が大きく変わる
- 知識のキャッチアップがしんどい
- 派遣元の研修が多い(ケースバイケース)
- 契約社員と思われてしまう
- 即戦力として期待される(されてしまう)
- 契約が途中で終わる可能性がある(不安定)
- 派遣先と派遣元の二重評価/報告/連絡が必要
- 年収/福利厚生面でメーカー正社員より劣る
- 正社員とは(なんとなく)壁がある
- 派遣元に転籍出来るかどうかは実力と運が必要
以上の通りですが、1つ1つ細かく解説していきます。
派遣先次第で仕事が大きく変わる
派遣された就業先次第でMSLとしての仕事の内容が大きく変わる場合があります。理由としてはざっくり以下の通りです。
- 派遣先のメーカーの社内体制/ルールが異なるから
- 派遣先のMSLの業務内容自体が異なるから
- 派遣先で扱う製品/疾患が異なるから
- 上司や同僚が変わるから
特に、『派遣先のMSLの業務内容自体が異なるから』という理由は、まだまだMSLという仕事自体の曖昧さだったり、仕事の範疇がしっかり決まっていない会社もあるというが大きな理由です。
派遣先によっては内勤MAよりの仕事が多かったり、ベンチャークラスだとQA作成や研修部の立ち上げに関わったり、やたら面会数だけ追われてきつくなったりすることもあります。
ただし、コントラクトMSLだからといって仕事のレベルが低いわけでもないですし、メーカーMSLと同じように求められる事があるので、なめてかかるのは禁物です。
知識のキャッチアップがしんどい
MSLはそもそも知識が物を言う職種でもあるので、会社が変わるたびに製品関連の知識を一からキャッチアップするのは結構しんどいです。同じ疾患の薬剤などを扱う場合には、それなりに楽が出来る事が多いですが、そういう事ばかりではありません。
ただし、コントラクトMSLになって2社目以降となると『メディカル』としての基礎知識・各種スキル(英論文の読解スキル/MSLのルール把握/対人スキル/仕事の雰囲気など)は役に立つので、どちらかというと製品や疾患の知識やKOLの把握などに時間を使えるようになるのでデメリットは緩和されます。
また、数社も経験すると経験のある領域は広がってくるので、自分の知識とマッチした派遣がされる事もあります。それまでは何事も勉強という気概で頑張るというのも重要かもしれません。
派遣元の研修が多い(ケースバイケース)
派遣先で仕事をしながら、派遣元の研修を実施するのもコントラクトMSLの仕事の一つであり、それらが多い事があると派遣先での業務として負担になったりします。
ただしこれはケースバイケースで、派遣元によっては研修や会議が全然ない場合もあります。また、研修やナレッジの共有会議が多くて時間が取られるとしても、特に未経験から転職したての人は勉強になるチャンスなので、一概にデメリットとは言い切れない部分はあります。
契約社員と思われてしまう
事実として、派遣先から見ると”契約”をして来てもらっている社員なのは間違いはなく、派遣元では「正社員」なのに納得ならない事もあるかもしれません。CSOというのはそういった視点で見られることもあるので、そういうものだと思ってある程度覚悟しましょう。
また、1-2年後にはいない人と見られていることがあるため、最初から扱いが雑だったりすることもあるかもしれません。契約社員だからこの先ずっと仕事をする人じゃないし、適当な扱いで良いと思われるてしまうとコミュニケーションは取りづらくなるかもしれません。
例えそういう風にネガティブに捉えられたとしても、自分の出来る仕事をしっかりやる事で、周囲の評価は自然と高まります。まずはやれることをやりましょう!
即戦力として期待される(されてしまう)
派遣元から見ると、MRもMSLもコントラクトという存在は何も数合わせのために来てもらうわけではありません。
しっかりとしたすぐに使える戦力として見られる事が当然予想されます。もちろんそれなりのコスト(お金)をかけているので、派遣先からは様子見をされながらも期待をかけられる事は多々あるでしょう。特に自身の派遣先で以前の担当者が自分の派遣元の会社と同じだった場合は、横に並べて比較されることもあります。
そういった環境に置かれる事自体が自分にプレッシャーをかけてしまう可能性がデメリットとしてはあります。
未経験でコントラクトMSLに転職を考えている人で、過剰な期待をかけられる事に心配がある場合は、まずはしっかり今から出来る事の準備をしてから望みましょう。
(とはいえ、未経験で派遣されてくるのであれば、その事実は派遣先の人は当然知っているのであまり心配しすぎずオッケーです。優しく色々と教えてくれる人も多いです。)
契約が途中で終わる可能性がある
派遣先の契約が途中で終わる可能性はあります。ただし先に始めに説明しますと、予め定められた期間が1年として、定められた1年の期間内でもう来なくて良いと言われる事はほとんどありません。
ほとんどの人は1年と決められたら1年間をやりとげますし、ちょっとのミスくらいで契約を切られる事はあり得ません。
もしあるとしたら、1年と決められた期間があったとしても致命的なルール違反や、派遣先が大事にしている先生を怒らせてしまった、といったことが起きるともう来なくて良いと言われてしまいます。そして別の製薬メーカーに半ば強制的に移されてしまう事をリプレイスと言いますが、リプレイスは不名誉なことなどでならないように気を付けましょう。
また、派遣先のルールによっては数カ月単位で更新といった短い契約更新期間もありえるので、次の仕事はどうなるんだろう、転職した方が良いのだろうか?といったように精神的に不安になる事もあります。これは、簡単にクビにならないメーカー所属のMSLにはないデメリットと言えます。
もちろん派遣元で「契約社員」となっておらず「正社員」で登用されて派遣されていれば、次の仕事の心配はあまりいらないかもしれません。しかし、派遣元で「契約社員」となっている場合は不安はさらに増大してしまうでしょう。
派遣先と派遣元の二重評価/報告/連絡が必要
派遣先と派遣元の二重評価/報告/連絡が必要なのは致し方のないデメリットになります。
評価は最終的に派遣元の会社で下される事になりますが、そのほとんどは派遣先からの評価のフィードバックシートで行います。派遣元での評価の割合を高めている会社では、派遣元での会議でどれだけ知識を共有できたか、成功体験を持ち帰れたかなどもある程度重視されます。
また、日報や勤務報告も基本的には両社に実施する事になり、単純に2倍の時間がかかります。どちらかの勤務時間の報告を間違えても修正は面倒ですし、休みを取るときも両方の許可が基本的には必要になってきます。
何かでミスをしてしまった場合は派遣元の上司にも怒られ、派遣先の上司に怒られてしまう事もあるでしょう。(派遣元の上司は慰めてくれることもあるでしょうが)
また、派遣元の上司から「最近はどうしているか」「今週のスケジュールはどんな感じ?」「どういう仕事が出来ているか」など確認をされる事もあり、時間が取られる事もあります。
年収/福利厚生面でメーカー正社員より劣る
年収/福利厚生面でメーカー正社員より劣るという点も、ある意味デメリットとしては避けられない部分になります。ただし、年収については一概に全ての人がメーカーの所属する正社員より収入が少ないという事はなく、むしろ多く貰っているケースもあります。
しかしながら、同じキャリアで同じような評価で同じ年齢であれば、昇給率は製薬メーカー社員の方が一般的には上で考えて良いでしょう。また、CSOの会社に転職する際に「未経験」だと安く見積もられて年収3割ダウンという事にもなりかねないので、納得がいかないようであれば別の会社で機会を狙うのも手です。
契約中の退職がトラブルになる
コントラクトMSLは基本的に契約中に退職することができません。契約中に退職することは『派遣元であるCSO』がメーカーからの信頼を失ってしまいます。
そして退職した場合に、他のCSOへは転職できないと言われています。契約破棄とされたCSOの会社が他社に情報共有するから、という風に言われています。実際はそのような事があるか分かりませんが、契約破棄をしてまで退職するのはよっぽどの理由がない限りやめておきましょう。
メーカーMSLでは比較的時期は気にせず転職活動も出来るのですが、コントラクトとなると退職もタイミングを見ないといけないので、転職時期も気を使うことになります
派遣元に転籍出来るかどうかは実力と運が必要
コントラクトとなるとMRでもMSLでもその他職業においても、派遣先の製薬メーカーの正社員としての登用=転籍の可能性を期待されている方も多いのではないでしょうか。
実際に派遣元のCSO各社ではそのようにメーカーに移る事が出来る!とうたっているところもあります。コントラクトMSLからメーカーに転籍することは可能ですが、絶対に転籍することが出来るとまでは言えません。
メーカーはそもそも特許切れまでの間やその他理由による一時的な戦力としてコントラクトMSLを雇っている事があるからです。
ただし、MSLの需要が高まっている昨今では、良い人がいれば転籍の機会を考えているメーカーやそのMA部署もありますので、手が回らなくて正社員を増やしたいというケースがあれば、転籍を狙う事は十分可能と言えるでしょう。
まとめ
以下の内容で紹介してきました。
- 派遣先次第で仕事が大きく変わる
- 知識のキャッチアップがしんどい
- 派遣元の研修が多い(ケースバイケース)
- 契約社員と思われてしまう
- 即戦力として期待される(されてしまう)
- 契約が途中で終わる可能性がある(不安定)
- 派遣先と派遣元の二重評価/報告/連絡が必要
- 年収/福利厚生面でメーカー正社員より劣る
- 正社員とは(なんとなく)壁がある
- 派遣元に転籍出来るかどうかは実力と運が必要
こういったデメリットもあるのも事実ですが、コントラクトMSLの需要は一定程度あり、また転籍やその他のキャリアも選択肢が広がります。
筆者は比較的短い期間で転籍を勝ち取れたのですが、実力のある人はもっと早く転籍を勝ち取れることでしょう!