『MSLの現状は?将来性はあるの?』『将来性があるならチャレンジしてみたい』『未経験でも転職する価値があるのか?』といった疑問はありませんか。
結論から言うと、MSL:(Medical Science Liaison)は将来性がかなりあると考えられます!
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MSLの現状
MSLの活動はそもそも医学関連の専門知識を持つ専門家であり、医学・科学・リサーチ・製薬業界などと協力して医療と研究に貢献することを目的としています、というのが一般的な定義ですね。
しかし、実際には製薬メーカー各社によって名前も異なり、「MAS(Medical Associate Specialist)」、「RML(Regional Medical Liaison)」、「MSL/HOL」、「育薬推進課」といった名前で設置しているメーカーがいます。
そんなMSLは現状はどのようになっているか、ざっくり以下の通りです。
- メーカー側の需要が増加している
- 営業部門とも近い社内の中核的存在になっている
- 未経験やMRから目指す人が増えてる
以上のようになっています。
メーカー側の需要が増加している
MSLの現状として注目しておきたいのは、メーカー側の需要が増加しているという事です。日刊薬業によると、21年度で1114人で2年前から割増加しています。また、ハードルの高さから人材確保が難しくなっているという声もあります。しかし、人が来ないと入社ハードルも下がる可能性があり、未経験者がチャンス乗る事も可能かもしれません。
>>グラフデータ参考:日本におけるメディカル・サイエンス・リエゾンの実態に関するアンケート調査 2019
営業部門とも近い社内の中核的存在になっている
MSLは営業部門とは切り離されている部署ですが、営業サイド(特にマーケティング)への連携やフィードバックは欠かせません。製品の知識や最新情報は勿論の事、KOLの状況や現場の大事なインサイトはMSLの方が持っているケースが多いので、頼られる事も多いのです。
何故ならそもそも医師から頼られる事が多いのがMSLだからです。医師に頼られる存在という事はそれだけ医師やその周辺情報も自然と多く持っているので、社内でも中核的な存在になれる機会はあります。
未経験やMRから目指す人も増えてる
昨今のMR事情として採用者数の激減が取り上げられていますが、行き場を無くしたMRの方は勿論、より医師との深いディスカッションしたいといったMRからのキャリアチェンジの意味合いでMSL転職されてくる人も多いです。
もちろんどちらが優れてる職種なのかと定義することは出来ませんが、MSLの採用ハードルは比較的高いので全ての人がなれるわけではありません。しかし、MRに明るい未来はないと確信して今後MSL転職を意識している人は多いのではないでしょうか
こういった背景もあり、筆者の身近でもMSL未経験やMRからMSLを目指す人が増えてると感じています。また、他社MRだけではなくアカデミアからの転職や社内異動をしてくる方もいます。
現役MSLの業務内容
ではそんな現状をふまえた上で、MSL は実際どのような業務内容なのか?を現役MSLである筆者が紹介していきます。
MSLは一般的には「営業やマーケティング等の販売促進活動を主とする部署から独立し業務を行っている」という事が前提で仕事をしています。
その上でざっくり以下のような業務があります。
- KOLマネジメント(アドボ立案なども含む
- (患者・医師)アンメットメディカルニーズを収集・解釈する
- インサイト収集・分析・自社へのフィードバック
- データジェネレーション
- (MA)プラン作成
- 社内の知識補完役(研修も)
といった感じの仕事を主に行っています。
例えばという範囲の流れであれば、KOLや医療従事者に面会してインサイトを持ち帰る→社内で分析→自社で役立てる(→データジェネレーションに役立てる)→MAプラン作成KOLへ面会
あくまで一例ではありますが、以上のような流れがあったりします。
『メディカルサイエンスリエゾン(MSL)の仕事はきつい?その理由と多様な働き方について』でも紹介の通り、MSLは結構忙しく業務にあたっています。
MSLの将来性
結論からいうと、筆者が考えるMSLの将来性は不透明な部分があるものの、総じて明ると見ています。
ぶっちゃっけると筆者がそうだったように転職を考えても良いほど将来性はあります!
理由は以下の通りです。
- 求められる役割が大きくなっていく
- MSLの給与・待遇は既に恵まれている
- 製薬業界/メーカーの将来性は大きく関係するため、不透明な部分も
求められる役割が大きくなっていく
『MSLの現状』でも記載の通り、少なくとも現在も製薬企業は医療の一端を担っており、今まで以上に医療・医学が科学と深く結びついていくと考えられるため、科学的な視点で医療をサポートできるMSL職種は無くなっていくことはないでしょう。
むしろまだまだ仕事としてスタートしたてと言えるMSLという職種は今後可能性が無限大と言えます。MSLという職種自体日本では全ての製薬会社が設置しているわけではなく、そういった意味では今後も需要は増加すると思われます。
将来的には、MSL に関連する分野はますます重視されることが予想されており、MSL は製薬企業や医療関連業界などで重要な役割を果たすことができるようになると考えられています。さらに、医療の分野での医学的知識の必要性がますます高まり、MSL は医学的知識をもとに製薬企業などと協力して医学研究などを進めることができる重要な役割を担うことができるようになるでしょう。
とくに昨今では、MSLになれる人材が少ないせいか、未経験でも比較的入りやすいコントラクトMSLのニーズも高まっており、MSL全体の需要は減る事はないと思われます。
給与・待遇は既に恵まれている
MSLは給与水準が高いといっても過言ではありません。下記は『MSLの基本給』と参考の求人年収です。
>参考:indeed
未経験の求人が多いコントラクトMSLでも年収800万円以上は十分狙えます。ただし、未経験からのチャレンジは前職の給与が大きく影響するので気を付けましょう。
製薬業界/メーカーの将来性は大きく関係する
製薬業界は薬価の激しい切り下げ、新薬登場の機会減少や収益性低下などにより、今後は経営がより厳しくなってくると予想されています
勿論元々収益性の高い業界なので、まだ他業界よりは安定感がありますが、特にMRやMSLの求められる人材のレベルは上がっていきます。MSLの将来性は製薬メーカー/業界と将来性と切っても切り離せないのです。
MSLのこれから求められる役割はますます大きくなっていくと思われますが、所属している製薬メーカーの将来性が全くの皆無であれば、転職を検討した方が良いでしょう。
製薬業界は以下3つの要因により厳しい状況にあり、ビジネスモデルの転換を求められています。
・医療財政悪化に伴う薬価の切り下げ
・創薬ターゲットの枯渇
・収益性の悪化
未経験からMSLはなれる?
それでは未経験からMSLへは転職可能なのか??→結論:十分未経験から、そして今からでもなれます(というか今がチャンス)
2023年現在もざっくり以下のようなパターンで未経験からMSL転職することが多くなっています。
- 社内異動(公募)
- 異業種転職
- コントラクトMSL(CSO)
現役製薬メーカーの社員でおすすめなのは社内異動(公募)を狙う事です。MSL設置があれば社内公募を狙うのが一番の近道になるのでまずは公募を見てみましょう。
公募の条件がMSL経験数年必須、もしくは公募が無いという場合には転職して目指すことになります。そういった背景から異業種転職でMSLになる人も多く、現在では以下のような方々がMSLを目指しています。
- MR/医療機器営業
- アカデミア(教員、研究者など
- 看護師
- 薬剤師
- 医師
- その他製薬企業の職種
英語が話せる・医師免許ある・論文が理解できる・募集している領域経験が豊富といった背景(全部じゃなくても良い)がある人は、未経験でも製薬メーカーの正社員として登用を狙う事も出来ます。
しかし、かつての筆者のようにMSL未経験で、MR経験はある。そこそこ論文は読めるけど、英語が話せない、領域経験がないという場合にはほぼ書類で書類で落とされます。
そういった場合は、これも筆者のパターンのようにコントラクトMSL(CSO)から正社員を狙うのが一番の近道になります。
5. まとめ
以下のような内容を紹介してきました
- MSLの今と将来性について
- 現役MSLの仕事っぷりとこれから
- 転職を考えるほどの将来性があるか?
MSLの将来性は明るいと思われるものの、最終的に生き残れるかどうかは自分次第になります。日々努力を忘れないようにしましょう!