MRの仕事

MRが忙しい本当の理由『10年経験者が語る』

MRって具体的にどれくらい多忙なの?」「スケジュールはコントロールできる?」「忙しくてもMRを仕事として選ぶ理由は?」と言った疑問はありませんか?

結論から言うと、オンライン面会が進んでいてもMRは多忙!!が正解です。23年現在は忙しさの基準が以前とは変わりましたがおおまかな激務度は以前と変わりません。

MRとして10年に渡って開業医の担当・中小病院の担当・大学病院の担当を経験した筆者が、MRが忙しい本当の理由を解説します

しろくま
筆者は新卒からMRとして10年活動!コロナ禍もそれ以前も経験しているので、色々なパターンが理解できます。

MRの労働環境はきつい?

MRには色々なイメージがあると思いますが、MRを経験して10年経って思ったことは、端的に言えば綺麗事を言っていても結局は『自社製品を売り込む営業マン』に他なりません。

営業マンなので、労働環境はそれなりにきつい部類に入ります。

ただし、MRはとにかく給料が高いのが良い点なので、多少労働環境がきつくてもおすすめ出来る職業です。

肉体・精神面

肉体面では車での移動や病院で立ちっぱなし、クリニックで待ちぼうけなどが負担になります。特に自信も経験した早朝から夜遅くまで病院で立ちっぱなしというのは今でも存在しますので、担当先によっては肉体的にハードになります。(もちろん店舗販売系、ガテン系ほどではありません)

精神面では営業的に数字や施設に製品を採用してもらえるかどうか、顧客とのやりとりで辛い面は何度もあります。特に課長職になりたての人が鬱で降格になったり、退職したというのは目の前で何度も目にしてきました。

給料面

MRの給料は、給与所得者1人あたりの平均年収よりもかなり高い傾向にあります。さらに福利厚生(家賃補助や日当)が優れているので給与面でMRを選択する人はとても多いです。

MRが忙しい本当の理由

MRを10年やっていた経験からして、MRってマジ忙しかったわ。。と確かに感じています

単純に時間的な問題ももちろんですが、精神面でも追い詰める事もあるので「多忙」「激務」という表現に拍車がかかっています。

本項では、主に月間単位のMRが忙しい理由を上げているので、忙しい時期や1日のスケジュールはこの次の項で紹介します。

MRが忙しい本当の理由として、以下のような仕事がきっちり詰まっているため「忙しい」や「激務」と言われています

  • 移動
  • 訪問(面会)/顧客対応
  • 会議
  • 講演会
  • 自己学習
  • 報告業務
  • 社内外の人間関係

ざっくり以上のようなスケジュールをこなすのがMRです。

それぞれ分けて解説していきます。

移動

移動はMR業務の中でも一番時間を費やすといっても過言ではありません。

つまりMRの忙しさは移動がかなり足を引っ張っています。全部web面会にすれば問題ないのですが、そうもいかず大抵の社員はコロナ禍でも大きく変わっているわけではありません。

また、移動と言っても色々なパターンがあり、以下のようなパターンが一般的です。

  • 自宅から卸
  • 卸から支店
  • 支店から得意先
  • 得意先から支店
  • 得意先から講演会場

ざっくり記載しても以上のような移動があります。基本的には全て営業車で移動します。

得意先間の移動もそうですが、自宅から卸・営業所、営業所から得意先、場合によっては帰りも直帰せずに営業所に寄ったりするのが時間の消費(浪費)となります。

ただし大(学)病院だけ担当しているMRや都市部担当MRは、移動時間が少なくなり代わりに訪問数や待機時間が増えるケースもあるので、移動の負担が少ない担当者も多いです。

病院メイン担当や地方地域担当の人と都市部の担当の人との移動とでは負担が異なりますが、地方では移動が増える分訪問数は減る傾向にあるので「移動」「訪問」のバランスが取れるケースが多いです。

移動も訪問も両方増えるという事は基本的にはあまり無いです。人間1日にやれる事はきまっているのがその理由です。ただし移動は基本的には車を運転する事になるので、事故のリスクや一定のストレスがかかることも事実です。

まだまだ直接面会は多いですが、前述のようにコロナ禍をきっかけにweb面会を使う機会も増えたので、いかに移動をせずに面会をするかというのも効率化に重要です。

最近では例えばアストラゼネカが支店を廃止して直行直帰になったりして、移動の時間を減らして得意先へ行く時間を増やし自分の時間も持てるようになったとの声もあり、業界にも新しい風が吹いています。

>>参考:MRが直行直近が当たり前の時代に?

訪問(面会)/顧客対応

MRが得意先(医師)を訪問・面会したりする時間というのは実は1日のスケジュールの中では長くはありません

どちらかというと訪問のための前提で「移動」や面会するための「待ち時間」の方が長いです。訪問のために貴重な時間を使っているので、訪問一つ一つは大事にする必要があります。

面会はケースバイケースですが1回の訪問(面会)で短いと1分くらい、長いと1時間くらい時間を使うことがあります。会話の中身は開業医の先生と話す時は雑談が多く、病院の先生と話す時は薬剤や疾患の話がどちらかというと多いです。

大学の教授クラスの先生と話す時は講演会の打ち合わせなどの機会も多いため、自然と面会の機会や時間が伸びたりもします。もちろん教授とあらばぱっと会えるわけでもないので、アポイントを取るためのスケジュール管理や時間管理も手間になってきます。

開業医の飛び込み面会は断られるケースもあります。断られたら次はここいけるかな、、、といった感じでスケジュール変更をその場でします。

訪問(面会)において大変なのは忙しさだけではなく、会社から1日の面会数を追われる・処方確認の数を追われる事だったりするので、処方を取るために面会をすること自体もプレッシャーがかかります。

顧客対応で臨機応変を求められる

上記で解説した通常の面会以外の部分での解説です。

他の営業職にも言える事と思いますが、MRは急な顧客対応で時間に関係無しで電話や上司と相談、メール手紙といった臨機応変な行動を求められることが多々あります。

得意先の医師にもよりますが、顧客と真面目に向き合ってるMRほど急な対応を求められることが多いです。全国的に有名なKOL(key oppinion leader)=製薬メーカーとしては講演会講師として引っ張りだこな先生の対応していたりすると講演会前は色んな要望があって結構大変だったりします。夜中まで必死こいて資料見つけるとか論文読むとか当たり前の事もあります。

それ以外にも卸(MS)や薬局からも突然連絡が入ったりして、1日の動きは流動的になっていてきついと感じる事があります。

MRの説明会

MRは単純に訪問して面会する以外にも訪問しての説明会、もしくはzoomやteamsといったツールを使ったweb説明会という事を良くやります。

説明会は朝・昼・夕方食事タイミングで実施することが多く、説明会時に出すお弁当などの準備や資料やプロジェクターなどの準備で時間を取られ、新製品だったらじっくりプレゼンの練習もしないといけないのでより時間も精神力も使います。

朝の病院での説明会は、得意先に出す朝食の準備も含めて朝が早いので割と忙しく先生もあまり悠長な感じではないのでさらに憂鬱になります。

MRの説明会と言ってもこれ以外に様々なパターンがありますが、「時間」をしっかり割いて準備して実施している事に間違いなく、慣れていても決して簡単ではありません。

会議

これはどの業界、どの会社でもあるのである程度説明は不要かもしれません。

MRの会議というのは大体以下のような内容が多いです。

  • 月に数回のチーム会議
  • 毎朝の短時間報告会議
  • その他、支店/全社戦略会議
  • 社内外の人間との打ち合わせ(電話含む)

ざっくり以上の「会議」によって時間が拘束がされる事があります。毎月のチーム単位での会議、支店単位での会議、上司によっては毎朝のオンライン会議などなどや、上司との打ち合わせや評価関連の面談、施設やキャリアについての相談など無限にあります。

オンライン会議という車内でもぱっと気軽に会議が出来る環境が出来てしまっているため、「会議が増えて逆にやばい」といった声もあります。(毎日オンライン朝会やる上司とかいました)

会社としてチーム単位でも会議を減らす取り組みがない限りは、会議の回数は時間などは今後減ることはないでしょう。

営業が本業のMRにとっては会議を如何に捌くかも重要になってきますが、チーム会議は社内で自分をアピールする場でもあるので、発言をしないといけないといったプレッシャーがかかるのも事実です。

しろくま
筆者がいた会社では、コプロモーションなど共同で仕事をしているメーカーさんとも会議を行ったりしていました

自己学習/研修

MRは自社製品の知識や周辺疾患の知識を常にアップデートして、医師の役に立たなければなりません。

医師や薬剤師には敵わなくても、自社製品や関連製品の知識は絶対的な自信を持っていないと出来る営業は務まりません。昔は人間関係だけでなんとかなったことも多いと言われてきましたが、今のMRにとって知識を付けるための自己学習や研修はかなり重要です。というかもはや当たり前になってきています。

最近では製薬業界もルールにも厳しくなってきたので必要以上の事は喋れない事も多いのですが、それでも背景知識があるとないとでは先生との会話の盛り上がりも全く変わります。

そういった勉強をする事はMRにとって重要な部分を占めており、自己学習は新しい知識を身に着けたり、既に学習した知識を忘れないように繰り返したり、社内テストのために頑張ったりと際限がありません。

講演会

講演会はここでは「医師」が「医師」に対して講演をする事を指します。

昼や土日、あるいは中途半端な時間に実施する事はたまにありますが、大半は19時以降のいわゆるゴールデンタイムに行われる事が多いです。

講演会の演者を担当していると、講演会の打診から先生との打ち合わせ~当日の対応など様々な事をやらねばならず負担感は大きいです。当然時間も取られます。

製薬メーカーの繁忙期

製薬メーカーの繁忙期はMRの繫忙期とほぼ同義です。

製薬メーカーで働くと実感するのは、1年間の中でも色々な時期によって忙しさが変化するということです。

  • 新薬の発売前後
  • 期末や詰める時期(営業として数字が必要なタイミング)
  • 新年会/忘年会といったイベントの時期

以上のような何かしらの「コト」があると、一般的に製薬企業は忙しくなります。

新薬の発売前後

新薬の発売(や既存品の適応拡大)というのはメーカー、領域によってかなり頻度が異なります。単純にいえば大手ほど新薬が多い傾向にありますが、毎年毎年新薬に恵まれる事はあまりないですね。

筆者も大手外資系にいたときは会社全体で1年に1個出ればよい方という感じでした。稀にラッシュが来る時もありましたが、そんな感じです。

しかし、新薬が発売の機会があるとなればその前後はどの部署もかなり忙しくなります。

発売前の仕事がメインの研究・開発の職種の人達は新薬の発売される何年の前の開発ステージから発売直後くらいまでは繫忙期になります。

一方、安全性管理部門やメディカル、研修部、マーケティングなどは新薬の発売前から発売後以降しばらくは忙しく時期がずっと続きます。

MRは市場分析や得意先の傾向把握、説明会やとにかく顧客と会って採用してもらう、処方獲得など色んな事が待ち構えているので半年から1年くらいは忙しくなります。

勿論複数の薬剤に関わっている人たちは、忙しさのステージが重なったりするのでより大変になります。

製剤の安全性等に問題が出た時はバタバタする

製剤の安全性等に問題が出た時は製薬メーカー全体としてかなり繁忙期(というより一過性のバタバタして疲弊する感じですが)になります

生命にかかわる事や一般の人も視聴するようなニュース等になる騒ぎとなると、クレーム対応など忙しさ勿論ですが、精神的に疲弊してしまうなど現場は大変な思いをします。

もちろんそういった事が起こる事は多くないですが、それでも何か起きた時はその企業全体でずっと忙しくなることでしょう。

MRは期末や詰める時が忙しい

期末や数字を詰める時期は忙しい+ストレスでイライラしたりする時期かもしれません。

例としては、売れてない分を来年から借りてくる作業はいわゆる数字の詰めにあたりますが、これは多いと毎月~3ヶ月に1回だったり、あまり重視されない場合でも半年に1回きます。

ああもう詰めの時期なのかとバタバタしたり憂鬱になったりするものです。

コロナ禍で詰めなどは減ってきているのですが。。。↓のような事例もまだまだあります。

MRの新年会忘年会は多忙を極める

現在のMRは新年会忘年会はコロナの影響もあってぶっちゃけめちゃくちゃ減っています。

しかし会社によっては新年会忘年会に出て人間関係を維持したりというのも文化的に根強かったりします。

新年会忘年会といっても色んな医療機関がやっているので、参加しようと思えば12月毎週土日。。。とかも可能といえば可能です

昔ながらのプロパーMRマンはばっちり全部参加しているケース(というか幹事任されてる)も多いので、それくらいの人になればなんらかの優遇は受けていて不思議ではありません。

しろくま
筆者は新年会忘年会はあまりでなくても、それ以外で頑張っていたので営業的な数字は問題ありませんでした!

『激務あり』MRの1日のスケジュール

忙しさについてここまで解説しましたが、MRの標準的な1日のスケジュールを紹介していきます。

  • 開業医や中小病院メインの担当
  • 大(学)病院担当

開業医と中小病院メインの担当と大(学)病院担当ではスケジュールが異なるので分けて紹介していきます。

開業医や中小病院メインの担当

開業医と中小病院メインの担当のスケジュールで、予定が詰まってる日をモデルにしています。

※時間はざっくりのイメージです。

7:30- 移動
8:00-9:00 卸訪問
9:00-11:00 移動・支店内勤・会議・訪問準備など
11:00- 移動
11:30- 訪問
19:00- 移動
20:00- 帰宅or支店で内勤or講演会など

移動については訪問先から離れていたり、地方担当だと全く変わってきます。その代わり訪問数が減るといった感じです。

訪問先が遅くまでやってるようなところを担当しているとさらに帰宅が遅くなります。

web面会が少しずつ浸透してきている現代では、移動の合間にweb面会を差し込んだりしながら工夫しているMRがほとんですね。

大(学)病院担当

開業医と中小病院メインの担当と大(学)病院担当では回り方が大きく異なります。

7:30- 移動
8:00-9:00 支店内勤・会議・訪問準備など
9:00-11:00 移動
11:00- 訪問
19:00- 移動
20:00- 帰宅or支店で内勤or講演会など

大(学)病院担当は全くではないですが、卸の訪問頻度は減る事が多いです。

しろくま
筆者は某●●大学を担当していた時は朝7時くらいからずっと病院にいて夜7時にいるとかもざらでした。

MRと他業界営業販売との忙しさの比較

MRと他業界営業の忙しさを他職からMRに転職した人にざっくりコミュニケーションを取って色々聞いて比較してみました。

  • 非製薬メーカー(MR辛いけど、給料イイ)
  • 商社マン(MR普通)
  • 不動産営業(MRイイ!)
  • アパレル系(MRイイ!)
  • 生保の営業(MRイイ!)

これだけ見ると結構MRって恵まれているのかなと思います。

ただし、口をそろえてみんないうのが「高給だから」という前提があります。

非製薬メーカーからMRに転職

これはどんなメーカーだったかにもよるので一概に言えませんが、MRの方がきついけど、給料がいいからMRおすすめというのが皆さんの本音です。

商社マンからMRに転職

商社マンは海外まで行ったりきたり、駐在している人はめちゃ楽と言っていましたが、日本のみで活動している人はどっちもどっちかなーという感じでしたね

給料も商社だと高い人はMRよりも全然高いですし、MRとは違ったやりがいも持ち合わせいます。一概に比較できないようですね。

不動産営業(MRイイ!)

元不動産営業の人曰く給与はまあまあ良いけど、不動産営業も激務だし、MRは給与がいいからMRの方が全然良いとのことです。

あとはMR支店を出れば一人で行動する事も多いので、一人でのびのびやれるという自由度も大きいのかもしれません。MRはルートセールスは基本なので、ずっと継続していける顧客との関係も良い面があるようです。

アパレル系(MRイイ!)

アパレル系の人は『知識』を身に付けてしまえば強いです。実際私のアパレル系→MRの人は接客で培ったコミュニケーションスキルを活かして、売り上げ上位にいて注目されていたことがありました。

まずはしっかり知識を身に付けさえすれば、給料も2~3倍狙えて自分の好きな営業スタイルでバンバン数字を上げる事も可能です。アパレル系→MRはハードルがあるかもしれませんが、おすすめです。

生保の営業(MRイイ!)

MRから生保の営業になる人も多い昨今ですが、MRの方が圧倒的楽という声がほとんどです。MRは売り上げがずっと維持できるケースも多いのですが、生保だと毎月毎月新しい開拓も必要になってくるので数字の追われ方が全然違うのがその最たる理由です。

まとめ

MRが忙しい理由とこれからMRを目指すための心構えについて解説してきました。

MR10年をやった経験からするとMRは高給取りになれるのでオススメというのが本音です。

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